対府交渉プロジェクト
2005年6月28日、対府交渉プロジェクトは、G-FRONT関西 運動研究部の協賛を得て、大阪府企画調整部人権室に下記の要請書を提出しました。プロジェクト代表を含め、8人が府庁に出向き、性的指向による差別の現状について、人権室の方にお話をさせていただきました。
要請書の提出に関する手順など
1.要請書をつくる
※可能なら、応援してくれる議員を探して、その議員に日程調整等、行政への橋渡しをお願いする。
2.橋渡しをしてくれる議員が見つからなかった場合、人権問題担当部局に電話をして、自分たちで日程を調整する。(大阪府の場合は、企画調整部人権室)
3.当日、要請書と資料を担当者に手渡す。要望を伝える。
※今回の大阪府への要請書の提出について、質問等あれば、
対府交渉プロジェクト代表:MAKまでメールにてお問い合わせください。
大阪府知事 太田房江様
血縁と婚姻を越えた関係に関する政策提言研究会 対府交渉プロジェクト
協賛:G-FRONT関西 運動研究部
(代表) ○○ ○○
大阪府大阪市北中崎西1-1-7-408
性的指向による差別を受けている人々の人権擁護施策の推進に向けた要請書
日夜の人権問題への取り組みに敬意を表します。
さて、大阪府では、2001年3月に「大阪府人権施策推進基本方針」を制定しており、その中で、取り組むべき主要課題として「性的マイノリティとされる人々」の人権に関しても言及しています。私たちは「性的マイノリティとされる人々」の中の、性的指向による差別を受けている人々(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル等)の当事者とその支援者の立場から、大阪府の取り組みに大きな関心と期待を持っています。
性的指向による差別を受けている人々の人権の問題は、カミングアウト(自分がレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル等であることを表明すること)の困難さゆえに、なかなか表面にはでてきません。しかし、当事者から直接話を聞く機会が多い私たちは、この問題は重大な社会問題であり、一刻も早い対応が必要なことだと認識しています。
この問題が、府政の中で軽視されることがないよう、具体的な取り組みと、十分な予算措置をお願いしたいと思います。趣旨を十分ご理解のうえ、よろしくお取扱頂けますようお願いいたします。
※性的指向による差別を受けている人々は、どんなグループにも必ず存在すると思われます。この要請書では性的指向による差別に焦点を当てて書いていますが、部落出身者、在日外国人、障害者等、他の被差別グループの中にも必ず性的指向による差別を受けている人々がいるということを念頭に置いていただきたいと思います。
記
1、教育・啓発活動
性的指向による差別を受けている人々への偏見や差別の大きな原因は、性的指向に関する正確な知識や情報が府民に普及していないからだと考えます。以下の事項について、早急に検討、実施されるよう要望いたします。
(ア) 性的指向に関する正確な知識や情報を盛り込んだ小冊子の作成、及び、大阪府、府内市町村の公共施設への配布。
(イ) 上記小冊子の学校職員への配布、学校図書館・保健室への常備。
(ウ) 特に以下の公共機関職員へ向けた人権研修の実施。
�@ 府立病院の院長、医師、医療従事者、職員
�A 学校教職員、PTA、スクールカウンセラー
�B 社会保障に従事している職員
�C 保健所職員
�D 警察職員
(エ) 大阪府が広く府民に向けて行っている府政だよりや府のホームページ等の広報活動で、性的指向による差別の禁止に関する情報発信を行うこと。
(オ) 大阪府で行われる人権に関するシンポジウム、講演会、書籍等の刊行といった企画において、性的指向による差別の問題もそのテーマのひとつに取り上げること。
(カ) 性的指向による差別の問題を、教育のテーマのひとつとして取り上げること(総合学習の時間、性教育、部活動、ジェンダーや性的指向に関する学部の設置等)。
2、同性間のパートナーシップの法的認知・保護
海外の主要都市では、同性間のパートナーシップの法的認知・保護を行っている都市が多数存在します。大阪府も、地方自治体として可能なところから、同性間のパートナーシップの法的認知・保護に踏み出して頂きたいと思います。以下の事項について、早急に検討、実施されるよう要望いたします。
(ア) 大阪府管轄下の公営住宅または大阪府住宅供給公社の住宅について、家族向け住宅に同性カップルが入居することが可能になるよう、法律の運用の緩和を検討して欲しい。(UR賃貸住宅は、非親族同士でも申し込めるハウスシェアリング制度を導入しています)
(イ) 大阪府の公務員の家族に対する法的保護・社会保障制度(忌引き、育児休暇、介護休暇等)について、同性カップルにも適用可能になるように、検討して欲しい。
(ウ) 上記の事項について、府内市町村でも同様の検討を行うよう働きかけを行って欲しい。
3、当事者団体の支援
大阪府内でも、性的マイノリティの当事者とその支援者が、様々な社会活動、文化活動を行っています。これらの中には、当事者のみならず、広く府民の利益になる活動も含まれています。行政による施策だけでは自ずと限界があることから、当事者たちによる活動を行政が支援していく必要があると考えます。以下の事項について、早急に検討、実施されるよう要望いたします。
(ア) 性的指向による差別を受けている人々の当事者団体の社会活動、文化活動に対して、助成や公共施設の使用等について便宜を図ること。
(イ) 性的指向による差別を受けている人々の問題について、当事者による相談窓口の設置、運営を支援すること。
4、その他
以下の事項について、早急に検討、実施されるよう要望いたします。
(ア) 以下の事項について、国への働きかけを行うこと。
�@ 財産分与について(同性パートナーへの遺言による財産分与では、親族の遺留分が確保される)
�A 同性パートナーの扶養家族扱い(国民健康保険)
(イ) 大阪府、府内市町村の実施する以下の施策に関して、性的指向による差別を受ける人々の視点を盛り込むこと。
�@ 人権施策の検討(大阪府の人権施策の検討をする際に、性的指向による差別を受ける当事者を参加させるしくみを作って欲しい)
�A 人権週間のイベント(性的指向による差別に関して、具体的に啓発・教育イベント等を実施して欲しい)
�B リバティ大阪の企画展「性的少数者の現在」の継続的な実施
�C 性感染症に対する取り組みの強化(MSM及びWSWなど同性間性交渉におけるHIV感染予防知識の普及を通じた健康増進施策)
�D 自殺防止プログラム(性的指向による差別や性的指向に関する無理解が、うつや自殺の原因のひとつになっている)
�E 家庭内暴力(DV)防止プログラム(同性パートナーへの暴力、同性カップルの子どもへの暴力防止の視点も必要)
�F 子育て支援プログラム(当事者の子ども、当事者を持つ親、親が当事者の場合を支援対象として想定すべき)
�G 男女共同参画プログラム(性別による差別だけでなく、性的指向による差別も考慮に入れるべき)
�H 労働政策(性的指向による就職・昇進時の差別を禁止し、セクシュアル・ハラスメント防止等と合わせて企業への指導を徹底して欲しい)
以 上