2003年12~2月の京都府男女共同参画基本条例案パブリックコメントプロジェクト
京都府男女共同参画推進条例(仮称)案骨子
前 文
① 我が国においては、日本国憲法において個人の尊厳と法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が着実に進められてきたが、依然として、性に起因する暴力や性別による固定的な役割分担等を背景とした差別的取扱いなどの課題が残されている。
② 一方、少子高齢化の進展、家庭や地域を取り巻く環境の変化、経済活動の成熟化等の社会経済情勢の急速な変化に対応していく上で、男女が互いに人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を実現することが緊要な課題となっている。
③ 京都は、世界の心のふるさととして、歴史に培われた文化、学術研究機能の集積などを有しており、このような地域特性を生かしながら大切にし、これを次世代に継承、発展することのできる男女共同参画社会を築いていくことが求められている。
④ 男女共同参画社会の実現に向けた取組は、人と人との絆を大切にし、また家庭を営む男女にあっては相互に家庭を大切にしながら、家庭や学校、職域、地域等あらゆる場において、男女が、心と心で結びあい、支え合いながら、また、男女の違いを認め合いながら、お互いの存在を高め合い、心豊かな関係を築いていくものである。
⑤ 男女共同参画を推進していくためには、府、府民、事業者等が一体となった、総合的・計画的な取組を推進していくことが必要である。
1 目 的
男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、府、府民及び事業者の責務を明らかにすることにより、一体となった取組を進めるとともに、府の施策の実施に関し必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進する。
2 定 義
(1)男女共同参画
男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うこと。
(2) 積極的改善措置
社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること。
(3) ドメスティック・バイオレンス
夫婦間及び恋愛関係等親密な関係にある男女間で行われる暴力的行為
(4) セクシュアル・ハラスメント
相手の意に反する性的な言動により相手方の生活環境を害すること又は相手の意に反する性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えること。
3 基本理念
(1) 男女の個人としての尊厳を重んじ、男女が性別による差別的取扱いを受けることなく、男女が個人として能力を発揮する機会を確保すること。
(2) 社会における制度又は慣行が男女の社会における自由な活動の選択を阻害することのないよう配慮されること。
(3) 男女が、社会の対等な構成員として、様々な方針の立案及び決定に参画する機会を確保すること。
(4) 家族を構成する男女が相互の協力と子どもを安心して生み、育てられる環境整備などに向けた社会の支援の下に、子育てや介護などの家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、自らの意思によって仕事、学習及び地域活動などができるようにすること。
(5) 男女が互いの性についての理解を深め、妊娠又は出産に関し双方の意思が基本的に尊重され、生涯にわたり、ともに健康な生活を営むことができるようにすること。
(6) 男女共同参画の推進は、国際社会の取組と密接な関係を有していることから、国際的な連携の下に行われること。
4 府の責務
府は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的、計画的に実施するとともに、府民、事業者、市町村等との連携・協働に努める。
5 府民の責務
府民は、男女共同参画について理解を深め、社会のあらゆる分野において男女共同参画社会の実現に寄与するとともに、府が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努める。
6 事業者の責務
事業者は、その事業活動に際し、男女共同参画社会づくりを担う主要な構成員であるとの自覚の下に、男女共同参画社会の実現に寄与するとともに、府が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努める。
7 男女共同参画計画
知事は、男女共同参画社会基本法に基づく府の男女共同参画計画の策定及び変更に当たっては府民の意見を反映するよう努めるとともに、京都府男女共同参画審議会の意見を聴く。
8 積極的改善措置
府は、審議会の委員構成などについて自ら積極的改善措置に取り組むとともに、雇用の分野をはじめ様々な分野でこれに係る取組が適正に促進されるよう必要な情報の提供、相談、助言その他の必要な支援を行う。
9 雇用の分野における男女共同参画の推進等
(1) 事業者は、基本理念にのっとり、雇用の場において、次に掲げる取組を行うよう努めなければならない。
① 男女が個人として能力を発揮する機会が確保される取組
② セクシュアル・ハラスメントの防止のための取組
③ 職業生活と家庭生活等における活動との両立を支援する取組
(2) 府は、①から③の事業者の自主的な取組を支援するとともに、事業者における男女共同参画の推進に向けた取組が促進されるよう情報提供、助言その他の必要な措置を講じる。
(3) 府は、男女の生涯を通じた職業能力の形成・開発、円滑な再就職及び起業を支援するために必要な措置を講じる。
10 個人で営む事業における男女共同参画の推進
府は、農林水産業、商工業等の分野における個人で営む事業において、男女共同参画が推進されるよう、啓発、相談その他の必要な環境整備を行う。
11 家庭生活に関する支援
府は、家族を構成する男女が、相互の協力の下に、子育て、介護などの家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるよう、保育・介護サービスの充実、情報提供その他の必要な措置を講じる。
12 京都における文化及び産業の振興
府は、男女がその持てる力を十分に発揮し、京都における文化の継承・発展や新たな創造及び産業の振興に寄与できるよう、様々な分野における文化的活動、科学技術の分野等における先端的活動等に携わる府民の交流機会の充実その他必要な措置を講じる。
13 府民等の活動の促進
府は、男女共同参画の推進のため、府民及び特定非営利活動法人その他の民間団体が行う活動を促進するため、それらの者との連携及び協働に努めるとともに、情報提供その他の必要な措置を講じる。
14 性別による人権侵害の禁止
(1)何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱い、ドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントその他の行為により男女の人権を侵害してはならない。
(2) 府は、(1)の行為の防止に努めるとともに、被害を受けた者に対し必要な支援措置を講じる。
15 情報に関する留意事項
何人も、公衆に表示する情報において、男女間における暴力的行為等を助長し、又は連想させる表現及び過度の性的な表現を行わないよう努めなければならない。
16 府民等の理解を深めるための措置
(1) 府は、男女共同参画の推進に関する正しい理解が深まるよう、あらゆる分野において適切な 広報及び啓発を行う。
(2) 府は、学校教育及び社会教育等の分野において、人権尊重や男女共同参画の推進に関する理解が深まるよう必要な措置を講じる。
(3) 府は、府民が行う、男女共同参画の視点から情報を正しく理解するための能力の向上を図ろうとする取組に対し、必要な支援措置等を講じる。
17 推進体制の整備
府は、男女共同参画の推進に関する活動の拠点施設の機能の充実を図る。
18 財政上の措置
府は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講じる。
19 調査研究・年次報告
(1) 府は、男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な調査研究を推進する。
(2) 知事は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等に係る年次報告を作成し、公表する。
20 苦情処理等
(1) 府は、男女共同参画の推進に関する府の施策についての府民又は事業者からの苦情の申出を適切に処理する。
(2) 府は、男女共同参画を阻害する行為についての府民又は事業者からの相談及び苦情に対して、関係機関と連携を図るとともに、相談体制の充実等の必要な措置を講じる。
21 京都府男女共同参画審議会
(1)府は、男女共同参画計画その他男女共同参画に関する基本的・総合的な施策及び重要事項を調査審議するため、京都府男女共同参画審議会を置く。
(2) 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項について、必要があると認めるときは、知事に意見を述べることができる。